もう…嫌だ。
あたしが何をした?まだ入学して間もないのに。

人をいじめて笑って。
楽しいの?
何がそんなに笑えるわけ?
冷たい…
制服がびしょ濡れだ。

痛い…胸が引き裂かれるように…

何であたしなの…?
あたしが誰かに、何かしたの…?

『…ぅぅ…ひっ…ひっく…』

蒼…助けて・・・ーー。

こんなこと…生まれて初めて…

イジメに遭うなんて…
言いたいことがあるなら…
直接あたしにハッキリ言えばいいのに…。
卑怯者…。

どうしよ…
制服びしょびしょのまま、出ていくわけにもいかないし…

あたしはただ、トイレの天井を見つめていた。

『綾音ーっ⁉︎』

蒼の声が遠くから聞こえた。
あたしを探しに来てくれたんだ…。

でもここ…女子トイレだし…
蒼を呼ぶわけには…

『綾音っ‼︎どこにいんだよ?』

コンコンコンコン・・・‼︎

あたしが入ってるトイレの個室のドアを、蒼が叩き続ける。

『綾音っ⁉︎ここにいるんだろっ?開けろよっ』

『何で…?蒼…ここ女子トイレだよ…?』

蒼は…あたしのために女子トイレにまで来てくれた。

ドンドンッ!ドンドンッ・・・ーー‼︎

蒼が、個室のドアを思いきり叩いている…。

『綾音っ!何してんだよっ?ここ開けろよっ』