小さい頃は子供だったから。

一緒にいれればいい。
そんなふうに漠然と思って過ごしてきた。

けれど、もしも願いが叶うなら。

蒼の彼女になりたいです。

下駄箱の前に張り出された、クラス発表の掲示板前。

あたしと蒼は、人混みをかきわけながら、必死に自分たちの名前を探す。

『あった…。綾音…俺ら同じクラスだ…』

『え?どこ?あ。…本当に腐れ縁だね…』

あぁ・・・バカ。

あたしって本当に素直じゃない。

『よかったじゃん、綾音。高橋も一緒じゃんっ』

『ホントぉ?やったぁ!美々ちゃんまだかなぁ〜?』

髙橋美々ちゃんは、中学も一緒で、あたしの唯一、親友と呼べる女の子。

ネイルが趣味で、オシャレ。

性格はサバサバしていて、ハッキリとものを言う子。

頼りないあたしの、姉のような存在でもある。

美々ちゃんだけが、あたしの蒼への気持ちを知っている。

『おふたりさ〜ん!』

後ろから明るく声をかけてきたのは、美々ちゃんだった。

『美々ちゃ〜んっ!同じクラスだよぉ〜』

『まぢで!』

美々ちゃんは、あたしの腕をつかみグッと身体を引き寄せ、顔を近付ける。