『…マヂで?』

綾音が思ってもみないことを言うから、俺は持っていたリンゴを床に落としてしまった。

『…ここ?』

『あぁ…気持ちいい…』

天国だ…

俺は、布団の上にうつぶせになって、綾音にマッサージをしてもらっている。

『あたし…重くない?』

『重いわけねぇだろ?どんだけ俺、か弱いんだよ…?』

『ふふっ』

俺…幸せだ…。

『ねぇ…?栞ちゃんさ、何か言ってなかった?』

『ゴホッ…』

せっかく幸せな気分だったのに、夏川の話かよ…。

『何かって?夏川さぁ…サッカー部のマネージャーになったんだよ…』

『えっ?そうなんだ…』

綾音のリアクションのデカさに、俺は逆に驚いた。

『綾音…?どした?』

『ううん…何でもない。可愛い子がマネージャーになってよかったじゃん』

何か…ツボ押す力が…強くなってる。

痛いんですけど…綾音ちゃん?

『よくねぇよ。俺…アイツ苦手なんだよ…』

『えっそうなの?あんなに可愛くて…ちょっとアレだけど…何がダメなの?』