俺の前をスキップしているケンに、俺は思いっきり飛び蹴りをかました。

『イッてぇ〜!』

ケンの叫び声に、周りにいた生徒がいっせいに振り向いた。

『…あほザルめっ』


サッカー部の顧問が、部員をグラウンドに集めた。

『えー、部活を始める前に、マネージャーを紹介するぞ』

ーーー嫌な予感がした。

『1年の、夏川栞だ。夏川…あいさつしろ』

『はい…夏川です。みなさん、頑張りますのでぇ、よろしくお願いしまぁ〜す』

げっ…マジかよ。

夏川は、満面の笑みで俺を見た。
…俺、苦手なんだよな…コイツ…。

『おいっ!栞ちゃん絶対に蒼が目当てでマネージャーになったな』

ケンが俺に小声で耳打ちする。

『うるせぇーよ、サル』

『サルじゃねぇし!…モテる男は…辛いねぇ〜』

ふざけやがって、ケンのやろう。ってか夏川がマネージャーか…
めんどくせぇことにならなきゃいいけど…。

俺の嫌な予感は、いつも的中するんだ。


水の入ったコップが目の前に差し出された。

『あーおくんっ♪はい、お水』

部活の休憩中に夏川が、俺の横に座った。