見た目は普通だし、他の女の子より優れているところなんて、何もない。

でもね…蒼が好き。

この気持ちを、大切にする。
勇気に変える。

ずっと蒼のこと、好きだったんだから。


[ 蒼 ]

綾音のやつ、午後の授業からずっとボーッとしてた。

何かあったのか…?

『綾音っ』

下校時間になり、教室を出ようとした綾音を呼び止めた。

『蒼…あっ、これから部活?』

『あぁ…気をつけて帰れよ?』

『はいはい…。蒼も部活頑張ってねっ!』

綾音の笑顔を見て、少しホッとした。

『夕飯食べないで待ってるね』

『おう』

綾音は手を振って帰っていった。

綾音の姿が見えなくなって、俺は鼻歌を歌いながら廊下を軽やかに歩く。

『単純だな…蒼』

『げっ…!ケン…』

後ろを振り向くとケンがニヤニヤして笑っていた。恥ずい…。

『ラブパワー♪ふふふんっ♪』

『変な歌をうたうな!』