ーー・・・ズキッ。

胸の奥に痛みを感じた。

『それでね、綾音ちゃんにも協力してほしいなぁーって思ったの』

栞ちゃんは、あたしの両手を握り、ニコッと微笑んだ。

今までもこういうこと何度もあった…。

蒼はモテたから。

幼なじみのあたしに、協力してって頼む女の子はたくさんいた。

あたしだって、蒼が好きなのに。

でも決まっていつも言い続けた言葉。

『蒼は、あたしに協力とかされるの嫌がると思うの。…好きな気持ちは自分で伝えた方がいいと思うよ…?』

そう何度も、決まって言い続けてきた。

あたしの言葉に女の子たちは、いつも納得してくれた。

『もしかして…綾音ちゃんって、蒼くんのこと好き?』

『…えっ…』

初めてだった。
蒼への気持ちを悟られたのは…。

『ち、違うよ…?あたしと蒼は…ただの幼なじみだってば』

動揺を隠すように、スカートの裾をギュッとつかむ。

栞ちゃんから目をそらした。

『‘‘ただの幼なじみ’’っていうなら…協力してね?ねっ?』

栞ちゃんに顔をのぞき込まれ、無理やり笑うしかなかった。

『栞ね…蒼くんが欲しいの』

栞ちゃんは、サラサラな長い髪をかき上げながら言った。

『蒼くんを栞のものにする』

嫌、嫌だ…絶対。

蒼が誰かのものになるなんて嫌だよ…。