せっかくのいい天気だから、あたしと美々ちゃんは、中庭でお弁当を食べることにした。

『古文の課題めんどいね〜』

そう言って美々ちゃんは、タコウィンナーを口に放り込む。

『本当だよね…あたし古文苦手…』

ママのおいしい手作り弁当を食べる、幸せなひととき…。
その時、後ろに人の気配を感じた。

『綾音ちゃん…ここにいたんだ。ちょっといい…?』

声をかけてきたのは、昨日、蒼とぶつかってカラコンを落とした美少女…
栞ちゃん。

『…あたしに何か用かな?美々ちゃん…ちょっと行ってくるね?』

『あいよぉ』

あたしは、美々ちゃんをその場にひとり残して、どんどん先を歩いていく栞ちゃんの後を追った。

『ねぇ栞ちゃん…どこ行くの…?』

『体育館裏…』

あたしの顔を見ず答え、スタスタと歩いていく栞ちゃん。

何でそんな人気のないところに…?

前を歩く栞ちゃんの後を小走りで追いかけながら、あたしたちは誰もいないひっそりと静かな体育館裏にやってきた。


『栞ちゃん…話って…?』

華奢な栞ちゃんの背中を見つめる。

『あのね、栞…蒼くんのこと好きになっちゃったの』

そう言って栞ちゃんは、とても綺麗な笑顔で振り向いた。