『はっ?お弁当って…俺、何もしてねぇよ?』

『ううん…すごく助かっちゃった〜。栞ねぇ、得意料理な方なんだっ。だから食べて?』

コイツ…昨日こんなに声高かったけか?
ひと言で言うと、すげぇ。
ブリッコだな。

俺…コイツ苦手だ…。

『ホントにお礼だから。食べて?ねっ?』
この女…顔の距離、近いんだけど…

『俺、弁当あるし…ホントにこういうことしなくていいから。困る…』

『せっかく作ったのになぁ…』

女は勝手にふてくされて、頬をふくらましている。

…めんどくせぇ。

『んじゃぁ、今度お菓子作ってくるねっ?』

『いらねぇって…!ちょっと、おいっ…!聞いてんのかよ⁉︎』

女は風のように教室を去っていった。

意味わかんねぇ女。
しつこいし…。

『あーおくんっ♪だってさ〜』

後ろを振り向くとケンが立っていた。

『ケン…!』

ケンは、俺の後ろの席に座る。

『隣のクラスの栞ちゃんじゃ〜ん。あの子、芸能事務所に入ってるらしいぜ?』

『どうでもいけど…めんどくせぇ女。断ってんのにさ…』

『蒼に興味あんのかな?』

ケン、楽しそうな顔してんな。