『決まってるじゃない。頑張ってね!きっと蒼ならすぐにレギュラーになれるよっ』

応援してくれるのは嬉しい。
でもちょっとくらい残念そうな顔してくれよ。

『あぁ…頑張るよ…』

人の気も知らずに、ニッコリ笑顔の綾音。

『…明日から気をつけて帰れよ?変なヤツについていくなよ?真っすぐ帰るんだぞ?知らない人からお菓子もらうなよ?』

『あたし…小さい子じゃないんだから…』

『レベルは同じだろ?』

『はいはい。どーせチビですぅ〜』

心配だ…俺の犬…じゃなくて綾音。


ーー翌日。

休み時間、教室で英語の宿題をやっていた俺の席に、女がやってきた。

『あーおくんっ♪』

…誰だっけ?

『えっと…』

俺が言葉につまって困っていると、その女は後ろに持っていた小さな紙袋を、俺の前に差し出した。

『これね、昨日のお礼っ』

あぁ…
昨日俺とぶつかったコンタクトの女か…。

『んで…何これ?』

『お弁当作ったのぉ。蒼くんにお礼がしたくて』

女は満面の笑顔で俺に、青色の弁当箱を差し出す。