『…そうだなぁ…バカがつくくらい素直で…嘘つけないヤツかな…』

『…え?バカ?』

蒼の趣味って、変わってる?

『おまえ…自分から聞いたくせに、何だよその返事…』

『…じゃあ…見た目は?』

『…さぁな』

素直になりたい。
可愛くなりたい。
恋する女の子は、みんな思うはず。

好きな人の前では、蒼の前で、素直になれたらいいのに・・・ーー。

でもバカが好きって、一体?


[ 蒼 ]

さっきの帰り道、アイツ…自分のことだって、全然気付いてなかったな…。
それほど…綾音の中で、俺は何とも思われてないってことだよな…。

俺は制服から部屋着に着替え、綾音の部屋に向かった。

ーー・・・ガチャッ。

『…入んぞ?』

『ちょっと…!蒼…勝手に部屋に入ってこないでよ!』

綾音はまだ制服姿のままで、顔を赤くして、小さなクッションを俺に投げつけた。

『最近すぐキレるな…おまえ』

『着替えてたら、どうすんのよっ!』

『俺は別に…むしろラッキー…』