隣のクラスだ…。

『栞ちゃんっ!あたしたちも探すっ』

『どうして名前を…?』

あたしはノートを指さすと、栞ちゃんはニコっと笑った。
その笑顔は、同じ女の子でもドキッとしてしまうくらい可愛いと思った。

『よかったな…見つかって』

そう言って蒼は、持ってあげていた栞ちゃんの靴を、彼女に渡した。

『本当にありがとぉ…えっと…』

栞ちゃんは、言葉につまる。

『あたし、C組の鈴ヶ森綾音でっす!』

『…綾音ちゃんね?』

『そう。んでこっちは、同じくC組の水嶋蒼』

あたしは、蒼を指さして、ニッコリ笑った。

『蒼くんね…。…ふたりは…付き合ってるの?』

そう言って、栞ちゃんは長い髪をかき上げた。

『『ただの幼なじみだよっ‼︎』』

蒼とふたり、見事に声が揃った。

そんなにハッキリ否定しなくてもいいじゃん…。

『お、幼なじみ…?』

栞ちゃんが、あたしたちの声の大きさにびっくりしちゃってる。

『うん、そう…幼なじみなの…あたしたち…』

『…ふぅ…ん。そっかぁ…。拾ってくれてありがとう!じゃ、また学校でね。』

茶色で長いストレートの髪をなびかせながら、華奢な栞ちゃんは早足に去っていった。