ーー・・・ドンッ‼︎

『あっ…ごめんなさい…』

そう言って、蒼の身体に同じ年ぐらぃの女の子が勢いよくぶつかった。

ドサッ。バサバサバサッ・・・ーー。

蒼はクレープを片手に、もう一方の手をその女の子に差し伸べた。
あたしはしゃがみ込んで、その子の落とした文房具を拾う。

『大丈夫です。…ごめんなさい』

そう言って女の子は、蒼の手を握り、立ち上がった。

よく見ると、その女の子はあたしたちと同じ高校の制服だった。

桜ヶ丘高校の生徒なんだ。

『まだ何か、ないの…?』

女の子が何もない地面を触っているから、あたしはしゃがみ込み、聞いた。

『…コンタクトレンズも…落ちちゃったみたいで…』

顔を上げた女の子は、まさに美少女というのが当てはまる。

透き通るような白い綺麗な肌に、パッチリとした目と長いまつ毛が印象的で…
化粧はしてるみたいだけど、ナチュラルメイク。
つやつやした茶色の長いストレートの髪は胸下まである。

まるでモデルさんのように、綺麗な子だった。

一般でこんなに可愛い女の子、人生で初めて見たかも…。

あたしは、拾ったノートに書かれていた名前を見た。

‘‘1年B組 夏川 栞’’