おまえの寝顔を、こんなにゆっくり見たの、久しぶりだな。

俺は、指で綾音の頬にそっと触れた。

誰にも…
渡さねぇから…

俺は、心の中で自分に誓う…。

なぁ…
綾音…
小さい頃からずっと…
おまえだけ。

俺にとって女の子は綾音だけ。

いつか絶対に…
言うよ。

幼なじみの壁なんかぶち破って、おまえが好きだって…。

それで。

俺を好きだって、言わせてやる。

『おやすみ…綾音…』

綾音の家で一緒に暮らし始めた夜、俺たちは、一緒の布団で眠りについた。

ふたり…
寄り添うように・・・ーー。

俺は…
おまえのその無邪気な寝顔を見て…
あの時の出来事をやっと…
忘れられたんだって。
…そう思ったんだ。

おまえの心に深く刻まれた過去の傷も癒えたんだと・・・ーー。

ーーー・・・朝…か…?

重たい瞼をゆっくりと開けて目を細めると、何となく部屋が明るい感じがした。

『…ん〜』

俺は再び目を閉じ、寝返りをうつ。

ん?何だ…?
この柔らかい感触…。