蒼の顔を見ていたら、目が合ってしまった。

『・・・何だよ?』

『何でもないっ・・・』

あわてて目をそらしたけど、胸の鼓動は速くなるばかり。

『・・・蒼さぁ・・・また背ぇ伸びたでしょ?』

『んー?あぁ…そーかも』

『いいなぁ…。あたし全然伸びないんだもん。また蒼との差が広がっちゃう・・・』

なぜなら、あたしは背が小さいのが悩み。

『綾音は小さい頃からチビだかんな』

蒼が、あたしの頭をくしゃくしゃっとかき乱す。

『もぉ!せっかく髪ブローして綺麗にしてきたのに…っ』

『うっせぇな…早く行くぞ』

この気持ちを伝える日は、きっと来ないと思う。

この関係は、居心地がよすぎるから。

蒼の特別な女の子になりたい。

そう願っていても、幼なじみという関係が壊れるのは怖い。

『蒼ってば、待ってよぉ!』

蒼の腕に勢いよく、しがみついた。
『・・・重い。』

『・・・お菓子ひかえます…ダイエットします』

あたしは甘い物が大好き。女の子ならきっと、みんなそうだよね。

『本当か?残念だな。駅前のクレープ屋、今日から新商品発売って……』

『行くっ!』

『おまえ・・・ホントに意思弱いな』