『でも…家…壊してるってことは、もうここには帰ってこないんでしょ…?』

『まぁ…最低5年は、アメリカにいるって言ってたかな…』

5年も…?そんな…嫌だよぉ…。

『蒼は…?蒼はいつアメリカに…?』

『はっ⁈…俺は行かねぇけど?』

えっ…⁈行かない…?そうなの…?

・・・よかった。

『アメリカ行くなら、今日一緒に入学式なんか行かないだろ?』

『そっかぁ…そうだよね。よかったぁ…』

先急いで、好きって言わなくてよかった。

『どこで…ひとり暮らしするの?』

『朝、言いかけたんだけど…綾音をびっくりさせようと思ってさ…。みんなに口止めしておいたんだ』

蒼が、あたしの頬の涙をぬぐう…。


『あら、おかえりなさい。綾音、蒼くん』

ママが、玄関から出てきた。

『ただいま。おばちゃん』

蒼が…ママに、ニコッと笑う。

『綾音ったら、そんなに嬉しいのね。泣いちゃって…まぁ』

ママ……?

『そうみたいっすよ…おばちゃん。今日からよろしくお願いします♪』

『蒼くんたら…水臭いじゃない。小さい頃から一緒にいるから、私たちにとっては、家族同然よ。自由に使ってね?あっ!さっき蒼くんの荷物、部屋に運んでおいたわよ』