重機が蒼の家を取り壊している。

『な……な……何で?!嘘でしょ…‼︎』

『親父の仕事の都合で、母ちゃんも一緒について行った。今日から家、取り壊しだってさ』

『えっ⁈お、おじさんとおばさん、ど、どこへ?』

頭が真っ白というより、パニックだ。

『アメリカ』

アメリカって…⁉︎

『と、遠すぎるっ!』

『そうだな』

蒼はいたって冷静な様子。

うそ…じゃぁ蒼も…すぐにアメリカへ…行っちゃうの⁈

『何でぇ…?何でよぉ…そんな大事なこと…もっと早く言ってくれなきゃ…』

蒼が…遠くへ行っちゃうなんて、考えたこともなかった…。

自然と涙があふれ出てくる。

『・・・綾音?泣くなよ…。そんなにぅちの親父たちのこと好きだったのか…』
『おじさんもおばさんも…大好きだよ?だけど…』

蒼のことは…もっと好き…ーー。

『アメリカなんて…遠すぎるよぉ〜…!』

『まぁな…急に決まったから…』

『本当に急すぎる…バカバカバカぁぁぁーっ』

あたしは、蒼の胸を叩いた。

『綾音、痛いって…!』

アメリカに行っちゃう前に…蒼に…あたしの本当の気持ち。