[ 綾音 ]

入学式初日も無事に終わり、下校時刻になった。

『蒼ーっ!帰ろうー?』

あたしは、蒼のところに駆け寄る。

『おぉ』

美々ちゃんとは家の方角が反対方向…だからあたしは蒼と帰るのが、小さい頃からの日課。

『ねぇ?朝、言いかけた話って何だったの?』

『ん?あぁ…まぁもうすぐわかるよ』

蒼は含み笑いをして、早足に教室を出ていく。

『えぇ〜?教えてよぉ!』

あたしはあわてて蒼の後を追いかけた。

小さい頃からずっとそうだった。

横を見れば、蒼がいる。

ずっと…隣にいたい…そう思うのはわがままなのかな。

ねぇ…蒼。

あたしたち、離ればなれになるなんてこと、ないよね…?

あたしね、この時、何か嫌な予感がしたんだ。

そしてあたしは、驚愕の事実を目の当たりにすることになった。


あたしたちが家の前に着くと、朝とはまったく違う光景が目に入ってきた。

鈴ヶ森家と水嶋家は隣同士。ありえないことが起きている。

『えっ?あれ……?』

今朝までそこに建っていたはずの、一軒家が…ない。

ガッシャンーー・・・ウィーン・・・ーー!