幼なじみ〈上〉

『どうしたんだよ？機嫌悪くね？』

ケンは笑いながら、ジュースの缶を一気に飲み干した。

『綾音っちと…ケンカでもした？』

『・・・してねぇよ』

ケンは、俺の顔を見てニコッと笑う。

『おまえが綾音っち以外のことで、機嫌悪くなるわけねぇもん』

『・・・うっせぇよ』

図星だから、余計に腹立つ。

『なぁ…ケン。…綾音のヤツ、また可愛くなったと思わね？』

俺は、深くため息をついた。

『綾音がっちが…？そうかぁ？別に中学の頃とそんな変わんねぇけど』

『いーや。可愛くなった…制服のスカートも短すぎだろーよ』

『おまえはおっさんか。今どきの女子高生はみんな、あんなもんだろ？』

他の女は、どうでもいい。
でも綾音のスカートが短いのが嫌だ。

『綾音が誰かに持っていかれたら…どうしよう…俺…』

考えただけで、むかつく。
そんなの耐えられない。

『・・・大丈夫だと思うぜ？蒼が思ってるほど、綾音っち、別に可愛くねぇし。モテないじゃん。』

『はっ？ケン…てめぇ』

『可愛くないは言いすぎだな。普通だ。』

『ケン、ふざけんな』

『冗談だよ。俺と綾音っちの仲だから言っただけ』

『・・・はぁ』

俺は空を見上げた。