最上階に着いた舞は、社長室のドアを2回ノックした。


「…どうぞ」

「失礼します」


「久しぶりですね、舞さん」

「…本当に、お久しぶりです。

・・・あの、この花束のご依頼主は、長嶋さん・・・

じゃなかったですね、長嶋社長ですか?」


舞の質問に、長嶋は困ったように笑った。


「・・・それが」

「・・・?」

そう言った長嶋は、社長室の奥にあるドアの方を見つめた。

・・・すると、静かにそのドアが開いた。



「え、英志さん?!」

「…花束の依頼主は俺だ」


「…全く、こんな事は、自分の会社でしてもらいたいものですね」

そう言って長嶋は溜息をついた。

舞は全く意図を掴めなくて、英志と長嶋を黙って交互に見返すしかない。



「…仕方がないだろ?

舞は、長嶋コーポレーションの傘下になってる店で働いてるんだから」

英志は拗ねたようにそう言った。