豊田の笑顔を見ながら。

「豊田さんは…」

やや訊きにくそうに。

麗華は上目遣いに訊ねる。

「豊田さんは進藤君の事、好きなんですか?」

「えっ」

流石に驚いたように、豊田は顔を上げた。

「谷口さんの事、もう割り切ったんですか?生きていたけど、谷口さんはもう敵として見ているんですか?豊田さんの気持ちは、もう進藤君に傾いているんですか?」

「……」

しばしの沈黙の後。

「私は戦術自衛隊員だから」

豊田は答えた。

「私情は挟まないと言えば嘘になる。迷わず引き金を引けるかと問われれば、そんな訳ない。きっと谷口君を前にしたら、動けなくなる。だからこうして肩を撃たれた。割り切ったなんて言えないよね、これじゃあ…………進藤君の事は……」