「そうですよね…」

頷く麗華。

豊田が谷口とどれだけ仲睦まじかったかは、豊田を姉のように慕う麗華が一番知っている。

谷口が殉職したと知らされた時、もう豊田は立ち直れないのではないかと思った。

よく、彼女は堪えたと思う。

そんな人生そのものを左右した相手が、再び目の前に、今度は敵として現れたのだ。

揺れない筈はない。

本来ならば、豊田は戦術自衛隊員としては戦えないほどの精神的ダメージを負っていたに違いない。

そうならなかったのは…。

「進藤君のお陰って言わざるを得ないわよね…悔しいけどさ」

豊田は苦笑いした。