照星越し。

進藤はひたすら前方の敵影を睨み続ける。

まだ部隊の移動中なのか。

建物の残骸に身を隠しながら配置につくブルトザオガー。

進藤達が立て籠もっている警察署を取り囲むように、兵を配置していく。

包囲戦を仕掛けるつもりか。

テレビ局に攻め込んできた時のように、正面から仕掛けては、また裏口から逃げられる恐れがある。

今度は蟻の這い出る隙間もないくらいに包囲網を敷くつもりなのだろう。

「三浦分隊長、敵は警察署を包囲しています。早くしないと完全に囲まれますよ」

急かすように交信する進藤だが。

『もう少し待て進藤、こっちは兵数が少ないんだ。効率的な配置を取らなければ勝てない』

三浦は言う。

警察官である倉本や巽にも協力してもらい、迎撃する為の準備をしている最中だ。

分かっている。

分かっているが、敵を目前に、進藤は焦れていた。