「ふざけんな!アメリカ軍は拷問なんてしていない!」

怒鳴るグライムズ。

「そう…?ウォーターボーディングはしているの…」

ウォーターボーディングは、背中を板に固定して頭に袋を被せて、頭を下に向けた逆立ちの状態で顔の上、或いは袋に穴を開け口や鼻の穴に水を直接注ぎ込む事で急速に窒息を生じさせる。

アメリカ合衆国政府は、身体を損傷しない限りは拷問ではなく強度の尋問であり、拷問を禁止するジュネーヴ条約に違反しないと主張している。

今はそんな事で議論を白熱させている暇はないのだが。

「彼女の言う通りにしよう」

咳込みながらマクナイトが立ち上がる。

「万が一の際に、部下達を危険に晒す訳にはいかない。ここから撤退だ。もしコートニーの発言が虚偽だった時は、部隊の指揮官である俺が全責任を取る」

「…有り難う…マクナイト中佐…」

コートニーは無表情のまま、しかし感謝の意を込めて礼を言った。