相田くんの汗が半端なく流れている。
「私のクラスは周りのクラスよりもずっと優勝に近いんです。それに加えて今日からの綾野くんの参加により、さらに優勝間近は確実です。…そのチャンス、無駄にするつもりですか?」
長いセリフを一息で言い切る加宮さん。
綾野はバツ悪そうに頭をかいている。
「…文句あるなら出てった方が早い」
ぼそっと宮沢がそう呟いた。
「…っ!…や、やるよ!やればいいんだろ!」
そう言って相田くんは自分の列に戻っていく。みんなも列に戻って楽譜を手に取る。
なんだか分からないけど泣きそう。
「じ、じゃあっもっかい最初から!」
わたしは相槌をうつみんなを見て、加宮さんに目で合図してもう一回練習を始める。

本番まで後少し。