気づけばもう8時。
「そろそろ帰りましょうか。みなさんひとり1000円お願いします」
加宮さんがみんからお金を集めている。
「おー、もう帰るから待ってろー」
綾野は誰かに連絡していた。
周りが彼女ー?なんて冷やかす。
そんな人に対して綾野は笑って弟だよと言っていた。
内心安心しているわたしがいた。
「まったく、早く兄離れほしいものだ!」
そういって一人で笑っている。
わたしがふと綾野のケータイをみたとき目を疑った。
あのキーホルダーがついていたのだ。
一旦落ち着かせてもう一度見てみるが間違いはない。
青色のユニフォームにサッカーボール。
見間違いと何度も自分に言い聞かせる。
きっと綾野のことを忘れきれずに幻覚を見ていたのだ。自分にはまだ可能性があるって思い込ませようとしているだけ。
綾野とは別れたんだから。
綾野とはもう、付き合えないんだから。