胸がズキってする。
「…うん、別れたよ」
「なんで別れたんだ?」
陸生はこういうところ無神経。
「理由は、わかんないんだ」
「はぁ!?なんじゃそりゃ!」
なんじゃそりゃって、わたしが言いたいよ。
「お前ら仲良かったよな、なにやってんだあいつ…」
部活もクラスも違うけど共通の友達がいて綾野と友達らしい。
「わたしはいいの、綾野がいいならそれで」
「は?じゃあお前あれか?自分の思っていること伝えてねーのかよ」
思っていること?
陸生の言葉がいまいち理解できない。
「由梨香は綾野と別れたかったのか?」
「え?」
「簡単だろ。別れたかったのか別れたくなかったのか」
別れたくなかったに決まってる。
だってわたしは別れた今でも綾野の声が、匂いがしぐさも全てが愛おしい。
「…別れたく、なかったよぉ」
思わずわたしの目から涙が流れる。
「大好きだもん…今でも…」
「…そーかそーか。よく頑張ったな」
よしよしと陸生がわたしの頭を撫でる。
わたしはひたすら思っていることを陸生に吐いて泣いた。
その間陸生はなにも言わずに聞いてくれた。
「泣きやんだかー?」
「うん…ごめん。ありがとう。だいぶ楽になった」
「俺でよければまた聞くから」
じゃっと言って陸生は部活に戻った。
引き止めてしまって申しわけない。