気づけばわたしは一人で泣きながら帰り道を歩いていた。

日曜日までは一緒に笑いあっていた人。

隣にいた人。

その人が理由もなくいなくなってしまった。

悲しくて苦しくて。

「由梨香にはもっといい人がいる。だからあんちゃんのことは忘れてほしい」

忘れるわけ無い。

むしろ忘れられない…

わたしの心の中はぐちゃぐちゃになった。

恋がこんなに辛いならしなければよかった。

綾野のこと好きにならなければよかった。

綾野の隣の席にならなければよかった。

綾野と出会わなければよかった。

心の中でそう言っても、涙が止まらない。

熱くて終わりのない涙。

「……あやのぉ…」

わたしの声は行き交う車のエンジン音とクラクションに消されてしまう。

「………さよならするしか…ないの?」

それに答えはなかった。