地元の駅について、綾野が自転車を停めている駐輪場まで一緒に歩いた。
そこでわたしたちは言った。
「また明日ね」
そして手を振った。
その先には綾野が笑顔で手を振っている。

わたしは気づけなかった。
綾野の持っている〝大きな秘密〟を。
それを知るのは数年も先。
この時はなにもわからなかった。

ただ綾野が好きだったの。