気づけば閉園前。
「うっわ!早いな1日!」
「わたしもそう思った、すごいあっという間だったね!」
なんか遊んでいた時間が1時間に感じる。
「やっぱ、楽しい人といるとあっという間なんだなぁ」
そう言って綾野は笑う。
「ね、綾野といると楽しいよ」
わたしがそう言うと綾野は一瞬固まる。
変なこと言ったかな?
「あ!ま、まだ少し時間あるからなにかするか!」
「…?そうだね、なにしよーか?」
そう言っているとわたし達の目の前に射的があった。
「あれやるか!」
1回200円の射的。
暇そうにお店のお姉さんがケータイをいじっていた。
「すいません、2人お願いします」
なにも言わずにお姉さんはわたしたちを見ると長い鉄砲の横に5個球を置く。
やれってことかな?
「よっし!絶対当てるぜ!」
すごい綾野張り切っている。
その言葉の通り、5発中4発当たった。
わたしは、1回も当たらなかった。
「あれ〜…」
するとお店のお姉さんはもう1個サービスをしてくれた。
お礼を言って打つが、当たらない。
「……」
「ははは!どんまいどんまーい!」
「おい、彼氏。お前が当ててやれ」
爆笑する綾野にお姉さんは球を1個渡す。
か、彼氏。
「…え?いいんですか?」
「いいよ、どうせもう店閉めるし」
わたしと綾野がお礼を言うといいから早くと言うように眉にシワを寄せる。
そして綾野はやはり1発でわたしの狙っていた小さいくまを落とした。
「すごい!ありがとう!」
「このくらいらくしょーだぜ」
自慢げな綾野。
でもすごいな射的のプロだ。
お姉さんにお金を渡してお礼を言って遊園地から出る。
空はすっかりオレンジに染まっていた。