日曜日。
わたしは6時50分に駅に到着した。
綾野はもう来てるかな?
それとも遅刻?
まだこの頃にはガラケーで綾野とはメールアドレスも交換していなかったから、口約束。今じゃ考えられない…。
普段の移動手段は自転車なため、電車に乗るのは久々。
切符の買い方もわからない(パスモはまだ存在しない)。
駅の中をうろうろしていると、突然視野が暗くなった。
「…あれ?」
「だーれだ」
後ろから綾野の声がする。
わたしは手で目隠しをされていた。
「…うーん、誰だろう。知らない人かな?」
「俺だよ!」
ばっと手を離す綾野。
やっぱり馬鹿なんだなぁ。
「おはよう、綾野」
「おう、おはようさん」
そう言うと、わたしに切符を渡した。
「由梨香のことだから、買い方わかんないだろ?」
ムカつくけどありがたいですね。
「ありがとうございます〜」
「気にすんな!よし、いくか!」
駅の改札を通って新宿方面の電車に乗る。
「綾野は何時から来ていたの?」
「あぁ、待ちきれなくて30分まえに」
早くない?
なんかわたし遅刻したみたい。
でも綾野はニコニコしているから大丈夫そう。