綾野はなにも言わずにうつむいている。
なにがあったの?
わたしの足は動かなかった。
その場で立つことしかできない。
「賢太!お前自分の置かれている立場を理解してそれか!?」
宮沢が怒鳴りちらしている。
それに対して綾野は何も言わない。
「お前、傷つくのは鈴崎だぞ!」
わたし?…なんで?
「賢太…聞いてんのかよ!」
そう言って宮沢は綾野の胸ぐらを掴む。
すると綾野は小さい声でいった。
「わかってる…でも、抑えられなかった…。俺は、鈴崎のことマジで好きになった」
だからってお前!と宮沢が拳をぶつけようとする。
それを綾野が押さえた。
「…ダメなのかよ。…俺が…幸せになっちゃダメなのかよ…!」
一体なんの話をしてるの?
「…ちっ」
宮沢は舌打ちをすると綾野を話して体育館へ入っていった。
綾野はその場に座り込んでいた。
わたしは話しかけることができない。
今は話しかけちゃダメな気がして。