「なぁ、おーい」
授業中に綾野が話しかけてくる。
「え!?あ、なに!?」
わたしは綾野をどうしても意識するようになってしまっている。
やっと気づいたと綾野は笑う。
「いや、先生の話し聞いてなさそうだし今のところわかるかなってなー?」
そういって綾野は黒板を指さす。
そこにはずらーっと並ぶ数字。
「…わかんないですね」
やっぱりと言うように笑っている。
綾野は馬鹿だけど馬鹿なのは精神面で頭はかなりいい。
「じゃあ教えてやるからこっち来いや」
わたしは綾野の机の近くに自分の机を近づける。
「教科書も開いてねぇし!28ページだぞ」
…きみのことでそれどころじゃなかったんですよ。
「ここはだなー、まずは…」
わたしのノートにちょいちょい書き込みながら丁寧に教えてくれる。
「…すごいわかりやすい」
「なんてたって俺は天才だからな!」
すぐ隣で笑っている。
すごく、どきどきする。
これ聞こえてたら恥ずかしいな。