あの後、疲れた顔の宮沢は帰ってきたが加宮さんだけは1時間帰って来なかった。
男子トイレの中まで追いかけて男子トイレが大騒ぎになり、職員室に呼び出しされたらしい。
帰ってきた加宮さんの手にはドーナツがあった。
無理はするなよ?と先生からもらったらしい。

放課後、わたしは昇降口で待ち人をしていた。
暗くなってきたくらいにその人はくる。
「…鈴崎?」
部活を終えた宮沢。
「ちょっとお話しよう?」
わたしは実樹のことになると放っておけない。
あんな悲しそうな顔をしてたのだから。
「…わかったよ」
賢い宮沢だからきっとわたしが聞きたいことはわかっているだろう。