放課後。
「由梨香!迎えにきたよ!」
帰りのHR中にいきなりドアを開けて実樹はそう言っていた。
明日の予定を話していた先生の言葉が驚きで止まる。
はあ…わたしまで恥ずかしい。
「失礼しましたァ」と低い腰でドアを締める。
みんなが笑い出したのはそのあとだった。
「実樹、昔と変わんねぇな!」
昔からあんなんだったのか。
「由梨香さん、お願いしますね」
「やれることはやるよ」
加宮さんから言われたお願いは、実樹が幼なじみの二人を覚えているか。
綾野がそれなら俺らが聞けばいいだろと教室をでていこうとしたのを宮沢が止めていた。
綾野は馬鹿だから気にならないのだろうけど、宮沢はなにかを怖がっている。
いったい実樹の何が怖いんだろう?