泣きそうになっていたら、目の前から走ってくる男子生徒。
今度はぶつからないね。
「鈴崎!」
聞き覚えのある声。
あやの?
「大丈夫か?」
なんで綾野が?
「後少しで本鈴なるぞ!手伝ってやる!」
「でも、わたし足が…」
ふっと体が持ち上がる。
「わっ!軽!お前、飯食ってんのか!?」
「…へ?」
なんでわたし綾野にお姫様だっこされてんの?
「これなら間に合うだろ。足に響くか?」
「う、ううん。大丈夫」
それどころじゃないでしょ。
まるで漫画の中の世界みたい。
「なんで…綾野きたの?」
綾野が、ん?という顔をする。
「言ったろ?〝助けが必要なら飛んでいくぜ〟ってよ」
遠足のときの…。
「…頼んでもないのに」
照れ隠しで少しひどいこと言った。
「頼まれなくても助けたくなったからな!」
綾野はニッと笑う。
なんでこんなにドキドキするの…?
綾野の声が聞こえたときすごく、安心した。
なんなんだろう、この気持ち。
これが〝恋〟なの?