渡り廊下を歩いていると向かいからふざけて走ってきた男子生徒二人のうちの1人とぶつかる。
「きゃ…っ」
わたしは倒れ込んでしまった。
男子生徒は一回立ち止まってお前がいけいやお前がというやり取りしている。
…自分でたてる。
「…大丈夫か?」
顔を上げるとプリントを抱えた宮沢。
「だ、大丈夫…立てる」
有無を言わずに宮沢はわたしの腕を掴んで引き上げる。
そして男子生徒に向かっていった。
「人にぶつかったらまず謝れ」
男子生徒は走っていった。
「宮沢…あの」
「無理はするな。せめて壁を伝うとか考えろよ」
宮沢の言ってることは間違いじゃない…でも。
「自分の、足で歩きたいの。早く走りたい

一瞬宮沢は驚いた顔をするが、またいつもの冷静な顔に戻る。
「だったら尚更だ。せっかくよくなったんだろ?なら余計に酷くしちまったら意味ねぇだろが」
そう言ったとき予鈴がなった。
「…宮沢は先にいってて」
「…」
迷っている顔をする。
「大丈夫だから、先に言ってて」
宮沢はわかったというように頷いて歩いていった。
わたしは宮沢に言われたように壁を伝う。
びっこひいて壁を伝うわたし。
周りから見たわたしはきっと…。
「すごく…惨め…」