「あ…、わたし班長だ…」
班長なのにみんなの足を引っ張っちゃう。
「それなら問題ないですよ、班長はただ班員についているだけでいいのですから」
怪我しているし、ついていく自信ないよ。
そう思っていた。
それを察したように加宮さんは言う。
「大丈夫です。私たちが離れません」
加宮さんが笑っているように見えた。
「おう!離れないぜ!」
「お前も怪我人だろうが馬鹿」
綾野が少しむすっとしてこう言った。
「少し骨が折れただけだ!今すぐにでもくっつけてやる!!」
それから綾野は自分の足に念力を送るように、うぅーん!と唸っていた。
こんな馬鹿、いるんだ。
わたしはそう思っていた。
「馬鹿は放っておいて、こうなるとバスの座席順も変えるか」
「そうですね。そのほうがいいです」
二人を見ていると申し訳なくなってきた。
「ごめんね、二人とも」
「気にするな」
「気にしないでください」
二人の声がほぼ同時に重なった。
それが面白くて、暖かくて笑った。
優しいなみんな。
「なんだ?なにが面白いんだ?」
「もう骨くっついたのか?賢太」
綾野は、は!とした顔をする。
「後少し!そんな感じする!」
「もうそんなの止めてご飯を食べましょうよ」
親子を見ているみたい。
この人達は本当に面白い。
そして優しい。
こんなに遠足が楽しみなの久々。
早く遠足の日にならないかなぁ。