朝のHRが終わったあと、綾野がこっちを向いて言った。
「さっきは軽い気持ちで言ってごめんな」
綾野はわたしに頭をさげる。
「い、いいのいいの!わたしこと、ごめんね。あんなこと言って」
謝られると同情されているようで…悲しくなるの。
「いいや、俺がしたことは許されることじゃない…」
綾野はわたしの目を見る。
「俺、左足を手術したことあるんだ」
「え…?」
初めて知った。
綾野は足が速い。
一学期の体力測定で宮沢と張り合っていたのを見ていたから知っている。
それなのに、手術していたなんて。
「歩けなくなると思っていた。でも俺は、歩きたい。走りたい。サッカー、野球にバスケ全部やりたかった。だからなんとしても治したかったんだ」
いつもニヤニヤしている綾野じゃない。
いつもの綾野じゃなくて真剣な顔の綾野。
綾野から真剣さが伝わる。