綾野はわたしの太ももをじっとみていった。
「つか、怪我した日近いし同じ足、同じ右足…この怪我お揃いだな!」
綾野はニッと笑った。
お揃い…。
少し怪我に対する悲しみが減ったような気がした。
「お互いこの時期の怪我は辛いが頑張って治そう。治ったら思いっきりスポーツしようぜ!一人よりも二人の方がいいさ!」
思いっきりスポーツ…。
「わたしには…出来ないよ」
綾野は、ん?という顔をする。
「綾野は完治したら思いっきりサッカーできる。でも、わたしには…!思いっきり走ることができないの…!もう…ダメなの」
気づいたらこんな言葉をいっていた。
綾野と宮沢、加宮さんもみんな驚いた顔をしている。
「あ…ご、ごめんね」
気まずい空気が流れる。
…やっちゃった。
泣きたくなる。
わたしは顔を下に向けて黙り込んだ。
隣で悲しそうな顔をしている綾野を見ないように。