夜の9時に賢太と電話するのが習慣。
この日も電話して、菜々子のことについて相談してみた。
「それって確信犯じゃんかよ」
「…だよね」
「元々チャラ男なんだろー?だったらもう…」
途中で賢太の言葉が途切れる。
「もしかしてよ、菜々子ってやつの誕生日もうすぐだったりしねえか?」
賢太の言葉にわたしはハッとする。
菜々子の誕生日は今週の木曜日、明後日。
「たぶん、サプライズでも用意してんじゃないか?」
「祐也が…」
しばらくお話をして10時になったから、また明日と言って電話を切る。
そして頭に浮かんだのは菜々子と祐也。
わたしはとてもあのチャラ男がそんなことするようには思えなかった。
祐也に連絡するにも気が引けるし…。
そんなことを考えていると着信がなる。
表示を見ると祐也から一言。
[へるぷみー]
初めての連絡がへるぷみー。
何事だと思って返事をしてみる。
[どうしたの?]
返事をしてすぐに既読がつく。
[女ってなにが好き?なにが可愛い?]
いまいち何を言ってるのかわからない。
祐也いわく、賢太の言った通り菜々子にサプライズを仕掛けていたみたいで、レストランの予約や準備を進めていたらしいが、どうしても重要なプレゼントが決まらないらしい。
なんだ、浮気じゃなかったんだ。
わたしはホッとしたと同時に申しわけない気持ちになった。
[菜々子はふわふわしたものが好きだよ。あと甘いもの]
[わたあめ?]
ほぼ一晩かけて祐也にアドバイスを続けた。