信じられない。
何故よりにもよってこんな可愛い子が祐也のことを…。
「ゆ、祐也くんね本当はすごくいい人なんだよ。あたし中学校同じだったから知ってるの」
だから祐也は菜々子に言い寄らなかった。
なるほどね。
「でも、あの人女好きだよね…」
そういうと菜々子の表情は曇った。
「祐也くん顔整ってるしスタイルいいもん…。こんな地味なあたしと釣り合わないのはわかっているけど、好きなんだ…」
机の足をつま先でつつきながら菜々子は祐也が好きになった理由を言ってきた。
中学校で菜々子はイジメられていたらしい。
理由は彼女がいる男子に告白されたから。
その男子の彼女が周りに泣きついてターゲットにされてしまって、もちろん告白は断っていたが女子たちの暴走は止まらなかった。
イジメの内容は生々しく聞いているのも嫌になるほどのものだった。
そんなイジメに終止符をうったのが祐也。
「こいつ(菜々子)のこと気に入られねぇならタイマン張ればいいだろ。弱そうだし。なのに集団リンチとか汚すぎんだろ」
これを教室でみんなのいる前で言ったらしく、祐也の友人たちはイジメっこたちにそーだそーだと煽って、やがてイジメはなくなったらしい。
「…ごめんねこんな重い話」
そう言って菜々子は無理やり笑う。
「可能性はないけど、祐也くんにいつか告白したいんだ」
菜々子の目は真っ直ぐに祐也を見ていた。