「違う違う!俺はここの卒業生だよ。去年卒業して今は大学一年生。ちょっと忘れ物をてたんだ」
だから上履きの色が同じなんだ。
…納得。
「あ、俺の名前は阪間直也ね」
「さかま、さん」
直也でいいよと直也さんは笑う。
「君は?」
「あ、わたしは鈴崎由梨香です」
「由梨香ちゃんね、弟が同じ教室だったらよろしく頼むよ。と、ここが体育館」
気づけば体育館なの入口についていた。
「すいませんありがとうございました…弟さんおられたんですか」
「気にしないでいいよ。うん、祐也って言うんだ。少しひねくれてるけどいい奴だよ」
そう言って直也さんはわたしにバイバイと手を振った。
わたしも小さく手を振り返して体育館に入る。

これがわたしと直也さんの出会いだった。