「じゃあ、俺のないの?」
うちはカバンから翔ちゃんの分のクッキーを投げつける。
「へーなかなか上手くできてんじゃん」
袋を開けてひとつ食べる。
「なかなかだな。お前料理できたのか」
「…失礼なやつ」
はははと笑う。
「何、振られたくらいで落ち込むなよ。実樹にはもっといい男いんだろ」
「…いないもん」
しばらく変な間があく。
口を開いたのは翔ちゃんだった。
「お、おお俺とかいんじゃん」
声がめっちゃ震えている。
「…へ?」
翔ちゃんを見ると顔が真っ赤だった。
「は、はは、冗談冗談」
そう言ってベンチから立つ。
「ほら、帰ろうぜ。おばさんが心配すんだろ?」
カバンともう一つ紙袋を片手に翔ちゃんは歩き出す。
「その紙袋…なに??」
そう言うと翔ちゃんは、あーと言って中身を見せる。