つぎの日の朝。
少し早めに学校についたわたしは部活に顔を出しに行った。
女子はペース走をしている最中。
ファイトー!と声をかけて、松葉杖を付きながら長距離女子の荷物を置いているところに向かった。
途中で隆生とバッタリ会った。
「おはよう、おつかれさま」
「お、おぅ」
隆生はいきなりだったのでびっくりしているようだった。
「あ、足大丈夫か?つか、カバン持ってやるから貸せよ」
「え、いいの?ありがとう」
おかしい。隆生が優しい。
「にしてもストレッチ不足で走れなくなるなんてお前らしいな!」
撤回。前言撤回。
「わたしだって…こんなことなら…」
思わず泣きそうになる。
わたしだって、もっと走りたいのに。
「…いや、そうじゃなくてだな」
その時、ランニングしていた野球部にわたしは少しぶつかってバランスを崩してしまった。
「きゃっ!」
「あ、あぶない!」
ぎゅっと閉じていた目を開けると、わたしは転んでいなかった。
わたしは隆生の胸の中にいた。
「あ!わ、わりぃ!そんなつもりじゃ!」
隆生が顔を真っ赤にして慌てている。
「ううん!いいの!気にしないで!というか…支えてくれてありがとう」
「あ…うん、いいんだよ」
そこから会話は途切れた。
部員を待って、教室に向かうときに隆生が小さい声でごめんと言っていた。