泣くのを止めたのはいつだっただろう。

いつの間にか、
涙が消えていた事に気付いた時
私はもぅ高校も卒業して
ニートと言う人たちの仲間入りをしていた。


ピピピピ

夕方5時に合わせていたアラームが
静かな部屋に響く。

夕日の光が空を赤く染め上げていく
秋の終わり頃だった。

私は怠い体を起こしアラームを止めた。

今からの時間が私の活動時間だ。
昼と夜が逆転し、働きもしない
もうすぐ20歳のニート歴1年。

兄が仕事で居ないのを確かめリビングに行く。

母が仕事から帰ってくる1時間前が私の少しした家での自由時間。

シャワーを浴びて
ご飯を食べて
可愛いゴスロリの服を選び
メイク道具が入ったカバンを持って
家を出る。

周りは田んぼと山ばっかの田舎。

夜は涼しい風がスカートの中を通り抜け
シャワーを浴びた後の体はすぐ冷え切った。

40分歩いた所のスーパーのフードコートに座り
メイク道具を広げ
私はメイクをし出した。

理由なんてない。

ただ、スッピンで居るのが嫌なだけ。

メイクを終え携帯をなんとなく弄っていると


「いや、やっぱ蒼(あおい)のあのゴールはすげーって!」

「先輩は大袈裟すぎっすよ」


と、部活終わりの高校生らしき二人組がジュースを買った後フードコートに座りに来た。

今日は金曜日だったか。

と、私は人が近くに居るのを嫌そうに顔を下に向けた。

金曜日は、学校の部活組が
明日はゆっくりできるからって
フードコートで喋ってから帰るのか
よく来るのだ。

そーゆー日は避けてきたのだったけれど
今日はウッカリしていた。


私は何処か場所を移そうと立ち上がった時だった。

カンカン

と、メイクポーチに入れ忘れていたグロスがあの二人組の足元に行ってしまった。

私は、喋りかけるのも嫌になり
そのまま行こうとしたら

「あの」

と、蒼と呼ばれていた方の男子が私にグロスを渡す。

「あ、ありがと」

と、私は小声で礼を行って立ち去ろうとしたら

「それ、ラゼル限定のグロスっすよね!?」

と、いきなり言われた。

「え?ぇ、ぇえ。。。そうですけど。」

このグロスは
ラゼルと言う雑誌の限定のグロスで
しかも、ラゼルと言う雑誌事態が限定発売されていた雑誌。
ゴスロリやパンク系の
ビジュアル雑誌なのだ。

「蒼、こんな女もん興味あったのかよ!」

と、横で爆笑するもう一人の男子。

「いや、妹が誕生日プレゼントに欲しがってたヤツだからつい」

と、苦笑いする蒼。

「よかったらあげますよ。まだ1回も使ってないし、私、グロスとかしないんで」

と、私は蒼にグロスを押し付け外に出た。

あまり、人と関わりたくなかった。
喋りたくなかった。怖いから。

私はまた外を出るのを止めた。