そして、昨日と同じ景色の中を自転車で駆け抜けた僕は、ついに目的地へとたどり着く事ができた。



周りの景色と調和する事を知らない、少し冷たさを感じさせるグレーの固いコンクリートが織り成す芸術。

『海神村人魚博物館』


その芸術の中にはどんな宝が眠っているのだろう・・・。



そう考えるだけで僕の胸は高鳴った。



そして、僕は博物館の入り口にある駐輪場に自転車を止め、窓口で1500円と引き換えに入館チケットを受け取った。

そして僕は、窓口付近に立っていた係りのお姉さんにそれを渡した。


「ありがとうございま〜す。」

お姉さんは片足に重心をかけ、いかにもやる気がなさそうに僕のチケットの半券を切り、残りを僕に返した。


(なんだよ、あれ。)


僕はそのせいで一気に機嫌が悪くなってしまった。


しかし、高いお金払ってまで入ったのだから絶対に最後まで見てやる!

僕はお姉さんに伝わる事のない対抗心を憶えた。