先ほどの屏風の名前は、見た通りの、『海神村山海屏風』だった。


『海神村』とはこの村の名前で、この屏風は海と山に囲まれたこの村の特徴をよく掴んでいると思った。

しかし、僕は先程自分の心を奪ったこの屏風絵の名前を知った途端、何か違和感を感じた。


しかし、僕はそれを無視し、順路に沿いながら展示物を鑑賞した。


そこには、この村の歴史を語る文献や、昔使っていた道具やら色々な資料が展示されていた。



しかし、この建物の名前にもある『人魚』について、いつまでたっても触れられる気配がない。



(何の為に『人魚』なんて言葉を名前に入れたんだろ。)



すると、僕のそんな疑問は次の展示コーナーに入った時に解消された。



そのコーナーのタイトル。

『海神村人魚伝説』


(人魚伝説?)


この村に来てからかれこれ半年以上経つが、そんな伝説聞いた事もない。


僕は、その伝説について書かれた説明文を読んだ。