「・・・で、そういうことがあって。その10代女性の・・名前が知りたいんです。」



「その前に、君のことが知りたい。」


「え?俺っすか?」


「君がその子に深く関係がありそうだと私が判断できたら、その子の名前を言ってもいいと思ってるんだ。」



医師たる者、個人情報は守るのが義務と、教授は言う。



「あ・・・はい。俺のこと・・っつっても、何から話せばいっすか。」



「君は、言葉遣いもよくないが、”ヤンキー”だった過去があるか?」



「ヤンキー・・・ではないと思うけど、まぁそう言う捉え方する、たとえば進学校のやつらとかはいました。」



「出身校は?」


「〇大医学部です。」


「高校は?」


「・・・北工業高校、つってもわかんないっすよね?」


「わかる。」



教授は深く溜息をついて、箸をおいた。



まっすぐなまなざしで俺をみつめる。


ふぅと、もう一度息を吐くと、教授の口元が動き始めた。




「・・・・君は、霧沢ちとせさんの恋人だった。」