あの患者は・・・もしかしてちとせのデータ?



・・・だったら、どんなに嬉しいか。



あの教授がちとせを知ってるなら。



『―――では、只今より10分間の質疑応答の時間とさせていただきます』




進行が言い終えるより早く、俺は手を挙げた。



仁奈子はぎょっとして俺を見上げる。



「ちょっと、何聞くの?!研修医のくせに、そんな出しゃばったら・・!」


「うるせぇ。」



あまりに早く手を挙げたから、進行も戸惑いつつ俺をさしてくれた。



中央に置かれるスタンドマイクの前に移動し、適当な挨拶の後、教授に問う。






「・・途中出てきた、10代女性の現在の状況を・・・教えてください。」






会場のざわめきなんか些細なことだ。


俺は教授から目線をそらさなかった。