俺は真由に頭を下げた。



「ここを貸してくれてありがとう。すげえ・・・世話んなった。」



頭をあげれば、仁奈子も真由も目をぱちぱちさせてやがる。





・・・ちとせと過ごした時間を振り返ると、保健室が思い浮かぶ。


”真由ちゃん先生、こんにちはー!”そういって部屋に入ってくる、ちとせのにこにこ顔。


俺たちの居場所をくれたこと。


ちとせをみててくれたこと。


・・・感謝してもしきれない。



「な、なによ、瞬くんらしくないじゃない。」


わかりやすく動揺してる真由。


俺は仁奈子に向きなおした。



「仁奈子も。ちとせのこといつも想って、俺に怒鳴ってくれて・・・感謝してる。」


最初はすげえめんどくせえ友達だなって思ったけど。


ちとせのことが大好きで、ちとせもお前が大好きで。


あのやたら遠い病院に仁奈子を連れてけば、落ち込んだちとせも一瞬で笑ったよ。


・・・悔しいくらいだったけど、すげえ嬉しかった。


ちとせをこんなに好きでいる友達がいて・・ちとせは幸せもんだ。



「仁奈子も、真由も・・・。さんきゅーな。ふたりがいて、よかった。」



俺がそういうと「「瞬くんが変ー!!」」って仁奈子と真由が大騒ぎだ。




そんな二人の目にうっすらと涙がうかぶ。



真由はコーヒーをすすって、「幸せー」なんて言ってごまかして


仁奈子は「花粉症だから!」って相変わらずの言い訳だ。